事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位
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経済力学と現場活動とをつなぐ事業システム設計を示すフロンティア |
本書は、事業をひとつのシステムとして捉え、システム背後にある力学やコンテクストを踏まえながら、システム全体が全体最適に「設計」する過程を追ったもの。戦略論とビジネス・オペレーション論との海溝に落ち込んだ部分をブリッジする領域と言えそうであり、ひとつのフロンティアを提示する書として価値が高い。
第1に、「ビジネスモデル」と「ビジネスシステム」との相違を明らかにする。呼んで名の如く、モデルは規範であり汎用的なもの。一方、システムは、基本力学を梃子として活用しつつ、当該事業の背景・コンテクストに依存しつつ設計される当該事業独自なもの。ここを明確に定義しているため、言葉の混用を防いでくれる。一時、「ビジネスモデル」という言葉が喧伝された。特に、「○○社独自のビジネスモデル」という引用には幾度となく違和感を覚えた記憶があるが、そういうことなのだ。
第2に、Value Propositionから経済力学、行動体系や理念体系に至るまでを一気通貫し、事業システム設計の統合されたブループリントを提供する。即ち、経済力学・エコノミクスを踏まえないものは戦略ではないし、エコノミクスを活用するためにどの領域に自社がフォーカスするか、そのための工学的活動設計はどうか、また、事業を運営する者が人である以上その社会的コンテクストとの調和を如何に果たすか、また、そのための情報流通経路をどう設計するか、などである。
第3に、上記の諸変数の選択・設計とその統合が如何に重要であるかを知らしめる。分断して議論され易い上記の緒論を一気通貫で概説していくので、どれかが抜け落ちてしまうということが少ない設計フローのブループリントを提供する。
「○○理論」を知っている、というような知的満足感を与えるものではないが、実効性を感じる一冊だと思われる。
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ビジネス世界を目指す人の必読本 |
〜加護野先生が90年代初頭から提唱されていた説を集約した一冊。ビジネスで競争優位を築くためには「事業システム」が大きくものを言う点を分かりやすく、しかも深い論点まで述べている。
文系、理系を問わず、ビジネスの世界に挑戦しようという人には必読本。これを一冊読み通しておくだけで、ビジネスに対する視点が一気に広がる。個人の競争優位を築く上で役〜〜に立つはず。
MBAの受け売り本と異なり、日本の教授が日本の企業を綿密にリサーチして書いた点にこそ値打ちがある。また、関西の企業土壌を背景に生まれた名著である点も見逃せない。
就職活動では「自己PR」が盛ん。意味がないとは思わないが、マニュアル本に沿った通り一遍のレポートなどどれほどの評価材料となるのか疑問。それよりも、この本を読ませてか〜〜ら、志望企業に対する事業システムの課題と解決策でも書かせた方が、企業と学生双方ともに有意義なマッチングができるはず。「採用システム」も差別化を図る時代に来ている。〜
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戦略論の地平が広がった |
前著「<競争優位>のシステム」では,刺激的な議論でありながら紙幅の制約で内容の深みに物足りなさを感じていた。しかし今回でそんな欲求不満が見事に払拭された。多面的に事業システムの分析を試みている点に斬新さを感じたが,それもPorterをはじめ,Besanko他の『戦略の経済学』,Barneyの『企業戦略論』などをしっかり踏まえた骨太の議論になっている。「諸理論を串刺しにして,事業の仕組みづくりの視点から再構築」(本書はしがき)するという意欲的な試みは成功しているといえる。
また,本書全体を通してちりばめられた豊富な事例の数々が,本書の内容をより実感できるものにしている。そのため,実務家にとっても競争優位のための「事業システム」をどう構築していくか,を考える重要なヒントを与えてくれるだろう。何よりも,これだけの内容のもつ本が廉価な普及版で気軽に買えるのがうれしい。 欲を言えばBertalanffyを祖とし,今ではすっかり日本語として定着している「システム」という言葉の概念整理も若干必要だったかもしれない。
ともかく,日本人研究者によるオリジナルティあふれる戦略論のテキストがまたひとつ現れたのは喜ばしいことである。
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起業家が幸せになるために |
この数年間、年に200冊近くはビジネス書を読んでいるが、
久しぶりのアカデミックな本だということもあって良い刺激になった。
私が経営している小さな会社でも、事業の仕組み(=事業システム)は
重要だと日々感じている。もちろん、事業性の優劣という意味でも強固な
仕組みを築くのは大切であるが、小さな会社では、事業システムを築かな
ければ社長が幸せになれない。
小さな会社には事業をシステム化するという発想が生まれにくい。だから、
事業がうまくいっても、まったく自由な時間がないとか、儲かっていても、
家庭が崩壊しているとかになっているケースが多のである。
この本を読んで、事業を仕組み化することによって、経営者にかかる負担が減り、
充実した生活がおくれるということを改めて確認できた。ベンチャー企業の
経営者にとっても、いやベンチャー企業や小さな会社だからこそ、
とても参考になる本だと思う。
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請け売りにとどまらない日本のテキスト |
アルマのシリーズだけあって、大変読みやすい(が、奥が深い)。
ポーターやバーニーの競争戦略論の請け売りではなく、日本のテキストとしては珍しくオリジナリティがあるように思われる。
この本だけでも、自社のビジネスモデルの設計のヒントは得られるが、ポーターやバーニーの「競争戦略論」を辞書がわりにして併読すれば、かなり精緻な仕組みの設計ができる。このあたりが社内研修で使われている所以なのかもしれない。有斐閣のURLに分析例が載っているが、今後このような分析例が拡充されることを望む。

