決定版 リアル・オプション―戦略フレキシビリティと経営意思決定
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コープランドが放つ、新時代のバリュエーションの決定版 |
バイブル的書「企業評価と戦略経営 キャッシュフロー経営への転換」(日本経済新聞社)を放ったバリュエーションの大家コープランド氏によるリアル・オプション(ROA)のテキストである。氏の手による本書は、ROAを利用する実務家等への手引きとしてまさに決定版と言える充実振りである。
価値評価の手法としてのROAは比較的新しいものではあるが、すでに米国主要企業の4分の1以上が意思決定の際に用いている。ROAにページを割かない企業財務テキストは最近見ることが少ない。また、経済産業省の調査では、わが国上場企業の4分の1以上が採用を検討しており、今後、定量的意思決定手法として重要な地位を占めていくであろうことは疑問の余地がない。
しかし、一方では実務利用に耐えかつ網羅的なテキストが不足しているのも事実であったと思われる。こうした状況下での本書は、非常に稀有な存在であり、今後長きに亘って実務家の座右として利用されるに足る。
第一に、ROAを価値評価手法・意思決定手法の一つにとどめることなく、VBMの一体系と位置づけている。DCFに比べ相対的に難解なROAは、経営管理上の重要性の認知がなければ定着させるのは難しいと思われる。本書では、エアバス社での実例にもとづき、ROAによるVBMの実践、チェンジ・マネジメントを提示している。ROAを通じて組織のパースペクティブを変革したい向きには非常に参考になると思われる。
第二に、理論を理解するために戸惑いそうな箇所には相応のページを割き、丁寧な解説がなされている。サミュエルソンの定理やボラティリティ推計などは解りやすい。
第三に、実務と理論との間の矛盾で悩みそうな点についても十分な説明が施されている。この点は、コンサルティング経験と理論への理解の双方を有する氏ならではではないだろうか。
ROAがもたらした最大の効用は、従来、定性的にしか説明できなかった不確実性や事業効果を金額的に捉まえ、価値に統合できることにある。不確実性を事業機会と捉えるツールとして今後重要性が増すROAの理解には本書は格好の機会を提供すると考える。
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実務家必携の本 |
近年リアルオプションに関する書籍がいくつか発刊されています。
その中でも本書はリアルオプションを実践的な手法に踏み込んで解説している点で称賛に値します。実務家にとって手放すことのできない一冊になるでしょう。ただし、コーポレートファイナンスとオプションの基礎知識がない人が、いきなりこの本を理解しようとしても、それは徒労に終わると思います。日常、NPVに親しんでいて、「ポートフォリオの複製」・「リスク中立確率」等を問題なく説明できるような方が、平均的な読者層になるでしょう。
ひとつ難を言うと、あきらかに記載ミスと思われる箇所が散見されることです。これはもともとのものなのか日本語訳によるものなのかは、私自身がコープランドの原書を読んでいないので何とも言えま!ん。しかしそのことが本書の価値を大きく下げることはないと考えます。現時点でリアルオプションの実践的な書はこの本を除いて他にはないからです。
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コープランドなら前著がおすすめ |
リアルオプションのテクニカルな面に興味のある方が副読本として使うのなら・・・とは思ったが、教科書的な親切さに欠ける部分が多くおすすめできない。
コープランドならバリュエーション(価値評価)に興味がある方にも、投資意思決定に興味がある方にも、本書より「企業価値評価」のほうが遥かに価値が高いので、こちらをおすすめする。
リアルオプションの考え方を習得したい方がまずこの本を手にとられるのであろうが、それならばアムラム・クラティラカの同名の書をおすすめする。こちらに関するレビューも載せているので参考にされてはいかがだろうか。
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期待はずれの本 |
Copelandが共著者の一人だったので期待して読んだが、期待はずれであった。説明が順を追っていなくて分かりづらい。数式の導出過程をもう少しきちんと示して欲しいものだ。オプションについての基礎知識に欠ける人がいきなりこの本を読んでもきちんと理解することは難しいのではないか。
日本での本書の評価の高さに驚いてレビューを書くことにしたが、米国のアマゾンの評価は本レビュー執筆時で星2つ半で、その当たりが本書に対する妥当な評価だと思う。なお、他の評者が言及していたSolutions Manual(プレゼン資料という感じの体裁)は前書きに書いてあるWEBサイトから入手できる。
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リアル・オプション分析の決定版 |
昨年来リアルオプション分析がビジネスの世界で話題となりつつある。いくつか関連書籍も出版されているが、本書は内容において普及版の書籍の中では最も充実しており、タイトル通りの「決定版」といえよう。
本書が優れているところは、企業内部での分析にすぐに応用できることにある。鉱山開発や新薬開発、ソフトウェア販売などの実例が、ディシジョンツリーなどの手法解説と共に掲載されており、大企業のマーケティングや研究開発企画部門のプロジェクト・リーダーが本書を読めば、応用の仕方がおおよそ分かるようになっている。一部数式や経済統計用語などわかりにくい部分もあるが、全て理解できなくても全く差し支えないと思う。
原書は昨年春に米国で発売されており、私も購入して読んでいたが、本書は原書の内容を全く割愛することなく書かれている。のみならず原書で散見された間違いも修正されているようで、一部わかりにくい表現もあるが訳書としては読みやすいと思う。
本書はビジネスマンのほか、経済学部の大学生が買って読んでも良いと思う。各章の最後に問題が載っていて、解答集もあるらしいので、大学の授業でも使われるのではなかろうか。
まだキャッシュフローや割引率の概念さえも十分浸透していない日本で、リアルオプションがどれだけ広まるかわからないが、昨今欧米企業に経営力で負けている日本企業の幹部には、この本を読んで是非科学的な意思決定手法を取り入れてほしいと思う。



