僕の起業は亡命から始まった!―アンドリュー・グローブ半生の自伝―
![]() |
ハンガリー・ユダヤ人の迫害・亡命記を期待すると少しゆるい |
起業家の本では全くなく、青年期に亡命したハンガリー・ユダヤ人の半生記である。著者の経営者としての功績はほとんど知らず、旧共産圏での抑圧やハンガリー・ユダヤ人が受けた迫害に興味があって読んだ。著者の経た第二次大戦中の幼少期、終戦からハンガリー動乱に至る青春期、亡命したアメリカへの畏敬と驚きと、それなりに興味深く読めた。が----苦難とはその人個人のものであり、他人がそれを評価する権利はないが----北朝鮮や旧ソ連、中国等の強権と抑圧について読み慣れた者からすると、著者が経験した「皆が難民然として汽車に乗っている」「国境の駅から歩いたらオーストリアに着いた」「アメリカには迎え入れる親戚がいて、すぐに大学入学できた」「アメリカに着いてから故国の両親と文通したり電話で話したり出来た」というのは、亡命としてだいぶゆるい気がした。アジア的な視点からすると、彼の亡命は、「経済難民」「精神の自由難民」に近いという気がする。また、本人が「自分が信じていないことを信じるふりをし自分とは違う誰かの一部を演じてきた。ここでは2度と自分を偽らなくてすむかもしれない」という苦悩、なぜ亡命後今に至るまで2度とハンガリーに戻らなかったのか、その心中は実はよくわからなかった。筆者が筆を抑えたのか、それとも、忘れられる、忘れたいようなものだったのか。
![]() |
壮絶な人生 |
亡命の過程が生々しく、米国へ移民する過程に惹きつけられる。
アメリカの「強さ」は、こうして「選抜」された移民に負うところも大きいのではないかと考えさせられた。
![]() |
凄まじい人生の前半 |
アンディー・グローブの会社員としての本はいくつかあり、気難しい人物だと言う評価が多いようです。しかしこの本では、彼の壮絶な少年時代を正直に述べており、彼は世間で言われているような人柄ではなく、率直な人物と感じました。



