ターン・オーバー ―企業を再生させる逆転の経営システム IAC
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いま日本企業が取るべき経営戦略が見えてくる |
「欧米型マネジメント」は、怖くない。
それが本書を読んだ最初の感想だ。
今の日本では、財務の枠組みや資本構成を変えることがイコール経営戦略で、それが欧米流だ、とされているように思える。「こうすれば商売はうまくいく」という自分の経験則や実感との間にズレを感じているのは、私だけではないだろう。
本書の著者は、日本人でありながらアメリカで社会人としてのスタートを切り、大企業の中枢でかずかずの事業再生やM&Aを成功させてきた人物。「欧米型マネジメント」が身体の髄まで染み込んだ人物。本書には彼の経験が等身大に面白おかしく描かれていて、気軽に読み通せてしまう。しかし注意深く読めば、私たちが「欧米型マネジメント」と呼んでいるものが、実は米国企業の表面だけの現象に過ぎないことに気づく。
著者が主唱する「IAC」は内部監査の手法を使って利益創出のチャンスをつかむ仕組みだが、要点は経営者自身が「現場への熱い視線」を保ちつつ、「組織の各部分を総合的に動かしていく」ことにある。著者がアメリカで行ってきたことはまさにそれだった。なんだ、あっちでも同じなんだ、という気分だ。
本書のなかに、著者が日本に戻って日本企業へのコンサルティングを始めようとして、かずかずの壁にぶつかる場面がある。「ウチの会社にもあるある」といった話ばかりで笑えるのだが、そこに描かれたエピソードはそのまま「今の日本企業の不条理」でもある。「資本効率重視」というルールに適応できずずるずる後退し続けている日本企業のどこがおかしいのかを知る機会を、本書は与えてくれる。
今私たちは、再生だ敵対的買収だと「身にかかる火の粉」を払うことに躍起になっている。しかし問題は、そのなかで自分の会社をどこに向かわせるのか、という本質的部分にある。そのような問題意識を持つ経営者や、経営戦略を練る立場にある人にとって、本書は必読書といえる。

