預金封鎖―国はタンス預金を狙っている
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もっと専門家のなかに賛同を求めるべき |
著者は日本=属国の立場を採り,国内施策がすべて米国主導だと指摘し,独自施策を主張している。たとえば,りそなへの公的資金投入は,ハワード・ベーカー(駐日米国大使)が中曽根康弘と古賀誠と森喜朗(3者とも総理経験者)をアメリカ大使館に呼びつけて,申し渡されたものだとか(33−4頁),竹中平蔵の経済財政担当大臣就任は,グレン・ハバード(大統領経済諮問委員会委員長)の差し金だとかいうものだ(35頁)。
「本書は『エコノ・グローバリスト』シリーズの第五冊目」(6頁)。著者の言うとおり「top heavyの原則」で書けば,本書は,アメリカの銀行には巨額の隠し負債があるから,これが表面化することで世界大恐慌が起きる,したがって日本は金融の面では鎖国しなければならないが,これがきない政府は日本史上の前例がある預金封鎖を行い,国民の資産を簒奪するだろう,という趣旨。高速道路の約束(無料化)さえ守れないんだし,官僚どもは前例主義だから,あんまり否定もできない。法学部卒が言うように,たしかに法律は経済原則とは違って“てきとー”に改正可能だからだ。
副島が興味深いのは,威勢のいい(?)日本独立論ではなく,むしろ地味な(!)統計分析のほうで,「日本のGDPの世界比率は9%にまで落ち込んでいる。5年前[98年?]には,これが12.6%もあった。じつに30%もの下落である」(151頁)とか,日銀発行の「資金循環速報」を加工して,計算上,個人(家計)では1043兆円あることになるが(そいや昔は1200兆円だったよな・・・), 郵貯と簡保と年金を足し算しても(543兆円),この数字の説明がつきそうにないといった指摘だ(163−5頁)。じつに面白い!
副島『逆襲する「日本経済」』でもそう感じたが,著名経済学者・エコノミストができないせっかく統計の分析手法があるのに,副島は敢えて際物扱いされかねない文体と論述スタイルに固執している。もったいない。もう少し感情を抜いて,論文っぽくしたらどうだろうか? どうせ真偽不明な新聞記事は引いて論拠にしているのだから,たとえば武者陵司(ドイツ証券チーフストラテジスト)の論文記事を引いてきて引っ叩くだけでも(20頁),ずっと違うと思う。副島が扇動者ではなく法律に造詣のある経済救世主の一翼を担わんとするつもりなら,もっと専門家のなかに自説への賛同を求めるべきだ。
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「点」から「線」へ |
自己顕示欲の強さ、断定的な物言いなど毛嫌いする人も多いかと思いますが、それと書いてある内容は峻別しなければいけないと考えています。
私としては、常々思い続けていた、国債の問題(国家破綻と言った方がしっくりくるような・・・)、住基ネット、新札発行、証券の電子化など「点」に過ぎなかったものが「預金封鎖」を通して「線」になった時は、一抹の恐怖すら感じたほどです。この予言が当たらないことを祈ることは勝手ですが、シナリオのひとつとして保持すべき物であると思います。


